Category: 一言

マイステイズが旅館?

栃木県には温泉地が多いが、鬼怒川温泉の奥の川治温泉のさらに奥には湯西川温泉がある。

この地は平家伝来の地として名高いが伴久旅館を始め、歴史ある旅館も多い。

その地にあった平家所縁の旅館をなんとマイステイズが買収し、リノベをした上で4月1日開業するという。

元々、ウイークリーマンション東京からその歴史をスタートさせているマイステイズは、那須のエピナール那須を傘下に収めた頃から、単にビジネスホテルだけの展開ではなく温泉地やリゾート地にもそのネットワークを広げてきた。

そして今回は由緒ある温泉地だ。マイステイズとはどのような企業かというと、以前は施設の所有もしていたが現在は完全なオペレーション会社だ。

そして、この企業はフォートレスというアメリカ系のファンド会社が所有していたのだが、現在のそのファンドのオーナーは孫正義氏。

つまり、ソフトバンクがホテルを展開していると言ってもいいかもしれないし、一般の方にはそのほうが分かりやすい。

現地でも業界的にはソフトバンクが進出したというような話になってもいるが、因みに独立系が多い中、すでに伊藤園グループも進出している。

鯉のぼりを上げない、焚火は炊かないなど古くからの習慣が平家の落人村であったことを表しているが、アメリカ製の黒船に乗った携帯電話会社が乗り込んでくる。

西武ホールディングスがプリンスを売却?

2月5日に驚愕のニュースが業界を震わせた。プリンスホテルやゴルフ場・スキー場など50施設以上を所有する西武ホールディングスが、そのうち30施設をシンガポールの政府系ファンドに売却するというニュースだった。調達金額は1500憶円。

 ニュースによればもともとはすべての施設の売却を試みたようだが、すべてはファンド側のお眼鏡には敵わなかったというわけか。

 ゴルフ場やスキー場はさておき、ホテルだけを見ても往時にはおそらく60施設くらいはチェーン展開していたし、海外にもプリンスブランドのホテルがあった。

その後の紆余曲折の後、西武HDとしては不採算の施設などを売却したのではあるが、ホテルチェーンとしては新規開業もあり、ある程度は順調だったはずだ。

それがコロナ禍での営業不振からついには資金繰りに苦慮したのか30施設の売却となった。

コロナ禍対策としてホテルについては2020年にはいち早く完全休業を決めたり、2021年には人件費の大胆なカットも実施していた西武HDであったが、残る選択肢は売却だけだったのか。

運営はプリンスホテルが行うということだが、西武HDとしては残ったホテルをどうするのか。

なぜ、ファンドがそれらを買わなかったのか。運営の難しい状態が続く中、今後の西武HDの動きに注目したい。

マーケットの変質

最近、あるホテルが宴会場の改装を行っているという話を聞いた。

それも、絨毯や壁紙等ではなく、なんと、ホワイエや廊下部分を潰して面積を拡大する工事ということだ。

今の時期に改装の費用を捻出できることも驚きだが、宴会場をより大きくする工事とは恐れ入った。

現在のコロナ禍にあって、様々な形態の宿泊施設であれ、またどのエリアの施設であれ、同様に営業不振に陥っている。

その中で順番を付けるのも難しいが、まずは国内需要による観光地の宿泊やレストランのランチなどはまだしも期待できるが、宴会ビジネスが最後となるのではないだろうか。

あの「桜を見る会」のような大人数でのいわゆる宴会やパーティのマーケットは消滅した。

また、シティホテルやビジネスホテルにおける国内のビジネス需要も心配だ。

リモートワークが浸透したのはいいとしても、反面、出張などの必要性も見直され、ビジネスマーケットも変わってしまった。

インバウンドマーケットはさらに遅れる、大阪万博にはという願いも叶うか。

宴会部門も往時のような宴会ビジネスが戻るとは到底考えられず、件のホテルの改装の意図が全く分からない。

宿泊部門も宴会部門もマーケットが変質してしまい、これまでの営業理論や常識も役立たなくなるのではないか。

今後のマーケティングはその変質したマーケットにいかに対応するかが課題となる。